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ヤマモトダイゴさんinterview③

一貫して「線画」を描き続けているダイゴさん。「線」という極めてシンプルな表現方法であるのに、絵を見ればすぐに「ダイゴさんが描いたものだ」とすぐに分かるほどの強い印象があります。そもそもダイゴさんは、どうして線画を描くようになったのでしょうか?

線画へ進んだのはお店の看板やショップカードを手がけたことがきっかけです。そういったものは長く使われ続けるものなので、不変的でシンプルでなくてはいけません。シンプルを突き詰めると線画になっていき、僕はそうした仕事が多かったので積もり積もっていくうちに、「ヤマモトダイゴ=線画」になっていったんだと思います。

もともと僕が絵を描くのは「誰かのために」なので、看板やショップカードになる絵はお店のイメージを最優先して描くし、展覧会は声をかけてくださったお店やギャラリーのイメージに寄り添ったものにしたいという思いがある。また、展覧会で並ぶ絵も「誰かのものになる」という意識があります。

 

絵って、一度誰かの手に渡ると、一生そこでお世話になり続けるものなので、10年後20年後になって違和感を感じるものではいけないし、そうならないようにするのが僕の責任だと思っています。だから、その時の勢いや感情など余計なものは取り払って、線に集中するんです。

 

では、ダイゴさんはどのようにして線を生み出すのでしょうか?

線を描いている最中のダイゴさんは、常に悩みながら線を描いては消し、また描いては消し…を繰り返します。

完成した絵の線は迷いを感じさせないものなのに、制作途中のキャンバスには無数の消し跡が見てとれます。

 

「線を描く」ということは、僕にとって「消す」作業です。

 

作業時間の8割方は線を消しているし、鉛筆の10倍くらい消しゴムを使います。自分の中で1本の線が「これだ」と決まるまで、描いては消すを繰り返すんです。

少しでも引っかかるところがあれば躊躇なく消します。「線がそこそこでも、色を塗れば良くなるだろう」ってことはないので、線がとにかく大事なんです。

線が決まるまでに1、2時間はかかりますね。

 

でも、時間の無駄とは思いません。

線を重ねていくことで

つながるものがあると分かっているので。

 

何度も線を描き直すのにはもう一つ理由があり、それは「下書きの絵とこれまでの絵の接点を探している」からなのだそう。

下書きの絵は“今の自分”というものが強く出ており、それをそのまま作品にしてしまうと、ダイゴさん自身の中で調和が取れなくなってしまうのだといいます。

「一生をかけて絵を描いていきたい」と語るダイゴさん。ご自身の中で全ての作品は、まさに一本の線のようにつながっているんですね。

【ダイゴさんのインタビュー】
interview②「絵はどこから生まれるのか」

interview①「展覧会で大切にしていること」