お知らせ

ヤマモトダイゴさんinterview②

「絵はどこから生まれるのか」

ダイゴさんの絵は、ゆっくりと時間をかけて線を描くことで生まれていきます。一つの絵に対する集中力は凄まじいもので、いつもの温和なダイゴさんとは打って変わって近寄り難いオーラさえ感じます。
そんな心血注いで描いた絵が、展覧会ではたくさんのお客さんの元へ嫁いでいくことになりますが、そこに寂しさはないのでしょうか?

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寂しさは全くないですね。僕の絵を欲しいと言ってくださる方々って何か感覚的に通ずるものがあって、僕の絵をきっと素敵に飾ってくれるんだろうなと思うんです。お客さんを信頼しているところが大きいですね。

でも、一つだけ「これはうちの絵だ」と思う絵があるんですよ。
それはうちのダイニングに飾っている絵で、妻を被写体にして描いたものです。あの絵が他の誰かにもらわれていくことは、ちょっと考えられないですね。

そのお話を聞いて、ふと気になりました。ダイゴさんの絵に、具体的な被写体やモチーフとなるものはあるのでしょうか?

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何かを見ながら描くことはなく、頭の中に“見たもののイメージ”を溜めておいて描くんです。
では、そのイメージをそっくりそのまま描いているのかと言われたら、そうでもありません。
頭の中にある「人」のイメージを紙に描いていて、出来上がったら「鳥」の絵になっていることもよくあります。
線を描いたり消したりすることで、いろんな線が交錯し、絵が生まれるんです。

僕の中には、常に「こうしたらより面白くなるんじゃないか?」と考えているところがあって。だから、床など周囲にある物の模様や落書きを眺めている時に「この線をこうしたら、こんな絵が生まれるな」と思い浮かぶこともあります。

和建設さんが発行している「まめの木だより」の表紙に、大きなおだんごヘアの女性を描きましたが、あれも「大きな丸が二つある形の面白さ」から始まっています。

実際に同じ髪型の人を見ながら描けたか?と言われたら、きっと描けていないと思います。
「そんな訳がない」と否定する気持ちが自分の中に入ってしまうとだめなんです。

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作品づくりの前段階として、自作のスケッチブックにたくさんの「落書き」をするというダイゴさん。そこに描かれた絵を逆さまにしてみたり、いくつもの重なった消し跡からイメージを膨らませたりして、作品となる絵が生まれていくのだそう。

今回のおでかけアトリエでは、そのスケッチブックも展示されていますので、ぜひお手にとってご覧になってください。

ヤマモトダイゴさんinterview①「展覧会で大切にしていること」